廃棄ロス削減!
新たな惣菜メニューの開発や改善事例を紹介
日本の食品廃棄の現状
日本では年間約2,800万トンもの食品廃棄物が排出されており、中でも「食品ロス」と呼ばれる本来食べられるのに廃棄されているものは年間約600トンにも上ります。(平成25年度農林水産省推計)食品業界では食品ロスによって環境問題や、廃棄コストによる経営の圧迫などの問題を抱えております。そこで、日本政府は平成13年より食品リサイクル法を施行。現在まで引き続き、廃棄物の発生抑制や削減、食品資源の再利用化の促進など、社会全体で廃棄物を減らす取り組みが行われています。
外食、中食における食品ロス
外食、中食業界においての「食品ロス」には様々な原因によるものがあり、それぞれのロスの原因を把握することで、削減や改善につながります。例えば、製造工程上で発生する汚損・破損した規格外品は店頭に出る前に廃棄されます。従来は廃棄されている不可食部分(副産物、残渣)においても有効利用できるものがあることも。また、品質には問題が無くて廃棄されるもの、つまり食べられる状態なのに捨てられてしまう例としては、新商品販売や規格変更に合わせて店頭から撤去されてしまう定番カット食品、販売期限切れ食品などもあります。
廃棄ロスとチャンスロスを防ごう
廃棄物削減=ロス削減において、今回ご紹介する2つのロスが「廃棄ロス」と「チャンスロス」です。廃棄ロスとは、顧客に必要とされず、売れ残ってしまった廃棄品や、売れ残りのために値下げしてしまった商品のことを言います。チャンスロスは、顧客が買いたいのに、商品が無かったために販売チャンスを失ったことをいいます。相反する要素に感じますが、どちらも顧客の要望を正確に素早く対応することで改善され、増益につながります。例えば、天気や季節に応じた商品ラインナップの変更や、イベントに合わせた期間限定商品の販売など、顧客のニーズに合わせた店づくり、また魅力的な商品開発で双方のロスを減らすことにつながるのです。
とくにその日の気温や天気、テレビ番組で取り上げられた商品などによって、急に売上が上がるもの、下がるものがあります。完全に予想するのは不可能ですが、気温や天気に合わせた売り場提案は結果が出やすいでしょう。ひな祭りやお月見など、季節のイベントに合わせた提案は売り場もにぎやかに演出することができ、一石二鳥といえるかもしれません。
製造工程におけるロスの改善事例の紹介
惣菜・弁当などを扱う食品会社では、製造時に発生する野菜の皮などの廃棄物の削減のため、あらかじめカットした食材を仕入れることで製造ロスの削減に成功。カット済み食材を使用することで、食材の歩留まりを正確に把握することができることから、原料の廃棄量も減少し、仕入れもスムーズに行えるようになった例もあります。様々なタイプの加工済み食品があるので、使用できるものがないか定期的にチェックをすることをおすすめします。
コンビニの取り組み事例の紹介
コンビニ業界では、お弁当の廃棄ロスの問題が以前から注目されており、各社様々な取り組みを行っています。その一つにチルド弁当というものがあります。これまで常温で販売していたお弁当をチルドで販売することにより、賞味期限を従来よりも長くすることで、ロス率の低下を実現しました。
加工食品を用いた惣菜メニューの開発の紹介
惣菜や弁当に加工食品を用いることで、廃棄ロスを改善できることもあります。あらかじめ味付けや調理されている加工食品は調理せずにそのまま使えるものもあり、食材を使った場合と比べて廃棄物を削減。また、賞味期限も長く、長期間在庫することもできるので、仕入れのロスが減ります。例えば、サラダに調理済みポテトサラダを用いたり、スープやデザートのベースに加工食品を用いたりすることで、ロス改善とともに作業工程も短縮し、人件費の削減へもつながります。
多機能調味料を用いた新しいメニュー開発
近年では様々な調味料が販売されており、手軽に新しいメニューを開発する手助けをしてくれています。近年はとくに素材感や食べ応えがあるものが人気を集めているようです。調味料といっても肉感や野菜感があるもの、様々な国の味付けのソースなど、同じ鶏肉を焼いた料理でも、使う調味料を変えるだけでバリエーションを増やすことができます。
また、そのまま使えて殻が入る心配がない調理済み卵商品には、基本の卵液だけでなく、茶碗蒸し用、キッシュ用とバリエーションがあります。さらに、スクランブルエッグやオムレツ、卵焼き、ゆで卵、錦糸卵、などもあり、メニューを豊富にさせるだけでなく、衛生面からも安心して卵をメニューに取り入れることができるでしょう。
まとめ
このように、日本では様々なシーンにおいて食品廃棄物が発生し、問題となっております。廃棄物の削減にはメニュー開発における工夫や、製造工程の見直し、顧客ニーズの把握など、各企業に合った対策が必要です。簡単な事ではありませんが、他社の事例や新たな商品などを取り入れることで、廃棄ロス削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2017/04/20時点