vol.2
  • オリエンタルビストロ
     アガリコ

エスニック、ビストロ、野菜を3本柱としたバラエティーに富んだメニューを提供し女性を中心に集客、月商1000万円超を売り上げる繁盛ビストロ「オリエンタルビストロ アガリコ」。代表の大林芳彰さんに、野菜を使ったメニューの考え方やコストコントロール、効率化とクオリティ安定化の手法について聞きました。

取材協力店:
オリエンタルビストロ アガリコ

オープンは2011年。西池袋の外れに位置しながら、創業から14年が過ぎたいまも月商1000万円超を売り上げる繁盛ビストロが「オリエンタルビストロ アガリコ」だ。エスニック、ビストロ、野菜を3本柱としたバラエティに富んだメニューを提供している。

代表:大林芳彰さん

1973年東京都練馬区生まれ。大学卒業後に住宅メーカーの営業職を勤めた後、26歳で外食業界に転身。グローバルダイニングの「モンスーンカフェ」4店の料理長を務めた。2011年に独立し、東京・池袋に「オリエンタルビストロ アガリコ」を開業。「アガリコ餃子楼」「東南アジア屋台 アガリコ食堂」などのアガリコシリーズで店数を伸ばす。現在は外食店プロデュースやコンサルタント業も手がける。

「アガリコ=野菜」のイメージを
印象づける

店名からもわかるように「オリエンタルビストロ アガリコ」は「エスニック料理×ビストロ料理」をフードコンセプトにしていますが、そのメニュー開発で大林さんが創業時から意識しているのが、「アガリコ=野菜」のイメージを印象付けることだそうです。
「これは女性をメインターゲットにしているためです。外食感度の高い20代~30代の女性が好むお店にはそれに引っ張られるように男性も集客できますから、女性が好むエスニック、ビストロ、そしてヘルシーイメージの強い野菜をメニュー開発の3本柱にしています」と大林さんは語ります。
そして、既存のエスニック料理店との差別化という狙いとともに、商品価値を上げるために工夫したのが多くの種類の野菜を使用することでした。
「エスニック料理はヘルシーイメージが強いですが、野菜のバリエーションという点では意外と選択肢が少ないんです。エスニックの定番野菜といったら、パクチーやソムタム、赤たまねぎなどですが、そういった野菜ばかりだと商品の面白みに欠けます。日本は野菜の種類が豊富ですから、それを積極的に生かし、ひとつの料理に複数の野菜を盛り込むようにすることで、料理に変化を出し、見映えのする料理に仕上げました」(大林さん)

多品種の野菜使いが
価値上げのポイント

アガリコでは20種類以上の野菜を使用していますが、この大林さんの考えが強く表れた創業当時の大ヒットメニューがバーニャカウダでした。契約農家から取り寄せた色とりどりの野菜を器いっぱいに盛りつけ、バーニャカウダソースとともにオリジナルのスイートチリマヨだれを添える。現在はレギュラーメニューから外れているものの、今夏のシーズンメニューとして復活し、大好評を得ました。

さらに大林さんは「野菜があることで、飽きずに料理を食べ進めることができます」と話します。アガリコの野菜料理はメニュー価値の向上だけでなく、皿数やドリンク数の向上にも貢献しています。

マヨネーズはエスニック料理と
相性のいい調味料

野菜料理を個性化するために大林さんが工夫しているのがタレ、ソースです。前述したバーニャカウダにはスイートチリマヨだれを添えていましたが、このソースは海老とアボカドのチリマヨネーズにも使用されています。
「エスニック料理の中でタイ料理は酸っぱい、辛い、甘いが味付けの柱になります。マヨネーズを使用するタイ料理はあまりありませんが、旨味のある酸っぱいマヨネーズはタイ料理と相性がいい。今回、ご提案したカリフラワーとオクラのサブジ素揚げのスパーシーカレーマヨもそうですが、スパイスにマヨネーズを合わせるとビール、カクテル、ハイボールにぴったりのつまみにもなるため、重宝しています」(大林さん)

また、居酒屋の定番メニューであるポテトサラダは自家製ラー油でアレンジ。マッシュポテトの上に半熟玉子を乗せ、そこにタイ産唐辛子を合わせた自家製ラー油をたっぷりかけます。「タイ産の唐辛子は特有の辛さがあって味わいに変化が生まれます。マッシュポテトの白にラー油、唐辛子の赤が映えるというのもポイントです」と大林さんは説明します。

空芯菜炒めもユニークです。オーソドックスな空芯菜炒めは醤油や魚醤で味付けしますがアガリコでは使用するのは、タイの味噌であるタオチオをベースにしたタオチオソース。味噌味の空芯菜炒めというオリジナル性から、組客当たりの注文率が8割を超える売れ筋メニューです。

多品種の野菜使いが
コストコントロールに役立つ

多品種の野菜とタレ、ソースの活用は原価コントロールやオペレーションの効率化という観点でも優位に働くと大林さんは言います。
「消費の絶対量が少ない野菜は原材料価格が上がりやすく、たとえば紫たまねぎの仕入れ値は以前に比べてだいぶ高くなりました。ただ、ひとつの食材に依存した商品が多いとその影響も大きいですが、多品種の野菜を使用することで臨機応変に野菜を入れ替えられ、コストアップの影響を抑えられます」
また、このことはロス抑制にも役立っています。たとえば、赤ピーマンは5品、アボカドは3品、ローストオニオンは6品の商品に使用。ひとつの野菜を複数の商品で用いることで、注文の偏りによる食材の過不足が出ないようにしているわけです。

セントラルキッチンで
タレ、ソースを一括加工

タレ、ソースの活用は調理作業の効率化とクオリティの安定化を両立させる手段です。タレ、ソースをあらかじめ仕込んでおくことにより、ツーオーダー調理で味付けのプロセスを簡略化でき、味付けのブレも防げます。
また、2023年1月にはアガリコの近くに「東南アジア屋台 アガリコ食堂」をオープンしましたが、アガリコ食堂が入居するビルの地下1階にセントラルキッチン(CK)を開設。以前はタレ、ソースを各店で仕込んでいましたが、CKで一括加工する形に変えて店内調理の負担軽減を図りました。
一方で、野菜はカットして仕込んでおくと鮮度が落ちるため、一部を除いてツーオーダーでカット。「効率化する部分と手間をかける部分のメリハリをはっきりさせることがコストアップへの対応では大事ですね」と大林さんは話していました。

『オリエンタルビストロ アガリコ』
が教える野菜レシピ

タイ風ヤム・カイダーオ
(海老と揚げ卵のアジアンサラダ)
ースイートチリマヨー

材料(1~2人前)

  • 卵 2個(揚げ卵)
  • えび 2尾(殻むき・背ワタ取り)
  • セロリ 30g(斜め薄切り)
  • 赤たまねぎ 30g(薄切り)
  • きゅうり 20g(薄切り)
  • A ネギ 10g(小口切り)
  • A バイマックル 1g(刻む)
  • A レモングラス 5g(刻む)
  • B あらびき黒こしょう 適量
  • B スイートチリ(追いがけ) 適量
  • B フライドオニオン 5g
  • カットレモン 適量
  • パクチー お好みで

【スイートチリマヨだれ】

作り方

  • ①卵を2個揚げる(半熟〜しっかり目)。 1個は6カット、もう1個はトッピング用にそのまま残す。
    えびはボイルして半分にカットする。セロリ、赤たまねぎ、きゅうりは薄切りにし【A】は刻む。
  • ②スイートチリマヨだれの材料をすべて混ぜる。
  • ③ボウルに①(卵はカットしたもののみ)を入れ、スイートチリマヨだれでざっくり混ぜる。
  • ④皿に盛り付け、トッピング用の揚げ卵を上にのせる。
  • ⑤仕上げに【B】をかけ、カットレモンとパクチーをトッピングする。

作り方

  • ①卵を2個揚げる(半熟〜しっかり目)。 1個は6カット、もう1個はトッピング用にそのまま残す。
    えびはボイルして半分にカットする。セロリ、赤たまねぎ、きゅうりは薄切りにし【A】は刻む。
  • ②スイートチリマヨだれの材料をすべて混ぜる。
  • ③ボウルに①(卵はカットしたもののみ)を入れ、スイートチリマヨだれでざっくり混ぜる。
  • ④皿に盛り付け、トッピング用の揚げ卵を上にのせる。
  • ⑤仕上げに【B】をかけ、カットレモンとパクチーをトッピングする。

(ポイント)
ヤム・カイダーオではバーニャカウダにも使用していたスイートチリマヨだれのレシピを大公開。スイートチリの甘味と辛味にマヨネーズを合わせて酸味と旨味をプラス。それをココナッツミルクで伸ばしてマイルドなソースに仕上げる。卵は表面を香ばしく揚げ焼きにすることで、サラダにコクと食感の変化が出る。

カリフラワーとオクラの
サブジ風 素揚げ
ースパイシーカレーマヨー

材料 (1人前)

  • カリフラワー(1房を半分にカット) 50g
  • オクラ(3本) 30g
  • 赤たまねぎ(スライス) 10g
  • 塩こしょう 適量
  • パプリカパウダー 適量

【ソース】

作り方

  • ①カリフラワーは1房を半分にカットし、オクラはヘタを落とす。赤たまねぎは薄くスライスする。
  • ②カリフラワーとオクラを170〜180℃の油で約1分揚げる。
    カリフラワーはそのまま、オクラは揚げたあと斜めにカットする。
  • ③ボウルにソースの材料を混ぜ合わせる。
  • ④②と赤たまねぎを③のソースに加え、塩こしょうで味をととのえる。
  • ⑤皿に盛り付け、パプリカパウダーを振って仕上げる

作り方

  • ①カリフラワーは1房を半分にカットし、オクラはヘタを落とす。赤たまねぎは薄くスライスする。
  • ②カリフラワーとオクラを170〜180℃の油で約1分揚げる。
    カリフラワーはそのまま、オクラは揚げたあと斜めにカットする。
  • ③ボウルにソースの材料を混ぜ合わせる。
  • ④②と赤たまねぎを③のソースに加え、塩こしょうで味をととのえる。
  • ⑤皿に盛り付け、パプリカパウダーを振って仕上げる

(ポイント)
野菜を炒め煮したスパイス料理であるサブジをアレンジ。「カレー粉+マヨネーズ」が味の決め手で、マヨネーズの旨味が加わることで「クラフトビールを飲みたくなるつまみに大変身する」と大林さんは言う。野菜は素材感を残すため、衣はつけずに素揚げにした。

企画協力:株式会社柴田書店

2025/11/27時点