キユーピー マヨネーズ

広がるマヨストーリー 05

想いを1つにしてこそ、
容器の改良は実現します。

2023.07.03

研究開発本部 技術ソリューション研究所 加工・包装研究部

Nagano Manabu

レトルト食品などの商品開発をした後、マヨネーズ容器など包材の研究開発を担当。その後、特許関連やジャネフの商品開発の業務などを経て、再びマヨネーズをはじめとした包材の研究開発を担当。

生産本部 原資材調達部

Taniguchi Shun

マヨネーズの生産現場に携わる中で、包材の改善に自ら取り組みたいと考え、希望して原資材調達部に異動。以来、マヨネーズなどの包材の調達や改善に取り組んでいる。

  • 容器の改良は、
    研究開発、資材調達、
    品質保証が力を合わせて。

    長野:私はマヨネーズの容器や外袋、運搬用の段ボールなど、専門用語で言うところの「包材」を研究開発しています。これら包材をより良くしていくのが仕事です。
    例えばマヨネーズのボトルを改良して賞味期間を長くする、キャップを汚れにくくするなど使い勝手を良くすることに、一つひとつていねいに向き合って取り組んでいます。

    谷口:私は、それら包材を調達することが仕事です。
    「調達」というと仕入れることだけが仕事だと思われがちですが、包材の改良は、長野などの研究開発や品質保証部門の者と一緒にやっています。包材メーカーの担当者に開発の狙いや想いを正しく伝えるためにも各部門とのコミュニケーションは欠かせません。長野とは同じ仙川キユーポートの上下階にいますので、何かあれば互いの席に行ってよく話をしています。

  • 60年以上かけて
    ガラス瓶と同じ
    12カ月の賞味期間を実現。

    長野:容器の改良と言えば、キユーピーにとっては何より「酸素との戦い」になります。
    およそ100年前の1925年、キユーピー マヨネーズは瓶の容器で発売されました。1958年に、使い勝手を追及して片手でもマヨネーズがかけられるポリボトルに入った商品を発売したのですが、ポリボトルは酸素を通しやすいため酸化しやすく、品質を保ちにくいんですね。以来、酸素との戦いが始まりました。
    先人たちが様々な研究と試作を繰り返した結果、1972年に酸素を透過しにくい層を挟み込んだ多層構造のボトルを実現。1988年には容器の口部にアルミシールを採用し、1998年に容器の口部に残る空気を窒素と置換することで口部の酸化を防ぐようになりました。

    この後から私も包材開発に携わるようになり、ボトルを軽量化しても酸素のバリア性を保てるボトルを開発、2002年には「おいしさロングラン製法」によって原料の油に溶けている酸素を取り除くようになりました。2016年に製造工程の酸素をさらに減らすことで、ガラス瓶と同じ賞味期間12カ月を実現しました。ボトルの材質はまだ改良の余地がありますので、酸素との戦いは今も続いています。

  • 容器ではなく、
    「マヨネーズ」を
    一緒につくっている。

    長野:「使い勝手を良くする」という改良では、例えば「ダブルキャップ」にも工夫がいくつもあります。
    このキャップは、キャップをはずせば星型でたくさん出せますし、上の部分を開ければ小さな穴から線がきができます。上のフタのちょうつがいの脇に溝を入れているのですが、この溝が支点となってたわむことで何度開け閉めしても、上のフタを左右にひねっても切れにくい構造にしてあります。開発中にフタを1万回以上開閉して、耐久性の実験もしていました。
    またキャップを開ける時に手が痛くないよう、指が触れる部分の先を丸みのある形状にしています。こうした仕様を採用した、いわば特注品です。

    谷口:そのような特別なものをつくるには、包材メーカーの方に開発の背景や目的をしっかりお伝えして、私たちと同じ想いになっていただくことが欠かせません。
    だから担当者の方には「容器をつくるのではなく、一緒にマヨネーズという商品をつくっていただいている」と伝えるよう心がけています。
    マヨネーズは中身に目が行きがちですが、容器やキャップ、外袋、段ボールに至るまで、全てが揃わないと商品がつくれません。メーカーも含め、マヨネーズの生産に関わるみんなが「良いものをつくろう」という想いで1つになることが、とても大切だと考えています。

  • 「3つ穴キャップ」の
    工夫が評価され、
    世界的な賞を受賞。

    長野:料理をおいしく、たのしく召し上がっていただく工夫で言えば、最近「3つ穴キャップ」の改良を行いました。

    かつてキユーピー マヨネーズに「3つ穴キャップ」をオマケとして付けて販売したことがあって。好評だったことから、2018年に350gのマヨネーズで採用することになり、形状を一から見直して改良しました。
    最初のものより、絞り口の尖端を高くして斜めに切り落とすことでマヨネーズが垂れることを防ぎ、より清潔に保てるように工夫しています。
    また3本線が重ならず、きれいにかけるように3つの絞り口を最大限に離して、真ん中の穴を小さめにして手前に配置。これによって中央の線が曲がりにくいようにしてあります。

    谷口:こうした良いキャップが開発されても、商品化には様々な調整が必要です。
    改良による変更で、工場の負担が増えることもあります。キャップの形が変わる場合、製造ラインの部品を交換しないと、(ボトルに対して)キャップをしめることができません。生産するたびに部品交換が発生すると生産の効率が悪くなるので、改良品は、ダブルキャップと同じ形状を踏襲してもらいました。開発部門、生産現場、営業部門それぞれの意向を踏まえたコーディネートも私たち原資材調達部の業務のひとつです。

    長野:改良の実現に向けたきめ細かなコーディネートについて、谷口など原資材調達部の人たちはいつもすごいと感じています。地道な活動があってこそ、改良品を世の中に出せるので本当に感謝しています。
    これらの工夫が評価され、「3つ穴キャップ」は2020年に世界包装機構という団体が主催するパッケージの国際的コンテストで「ワールドスター賞」をいただきました。キユーピー マヨネーズは世界中のお客様にお使いいただいている商品ですので、海外で高く評価されたことはとても良かったと思います。

  • たとえ気づかれなくても、
    改良された容器を
    普通に使ってもらえれば。

    長野:ありがたいことに、お客様から「使いやすい」というお声をいただくことがあります。そうした反応は開発者としてはやはり、やりがいを感じます。
    キユーピー マヨネーズは発売以来、少しずつ様々な改良を重ねてきています。細かなところは、お客様がお気づきにならないことも多いと思います。
    でも、それで良いと思っています。生活の中で普通に使えることが一番です。むしろお気づきにならないほど自然になじんでいる。そんな改良を、私たちは目指しています。やりたいことはまだまだ尽きません。

  • 長野学さんの
    イチオシレシピ!

    卵サンドです。ゆで卵とマヨネーズはものすごく合うと思います。ちょうど昨日も作りました。ハムときゅうりも入れて。とても美味しかったです。

  • 谷口俊さんの
    イチオシレシピ!

    肉と野菜のマヨソテーですね。炒める時にマヨネーズを和えながら調味料を加えて仕上げます。キャベツと鶏肉とか。牛肉や豚肉でも作ります。だいたいサイトのレシピ通りにやっています。