キユーピー マヨネーズ

広がるマヨストーリー 07

「マヨネーズで発電」は、
みんなの想いで実現できました。

2023.10.31

生産本部 
環境対応推進プロジェクト

Matsubara Yuki

入社して工場でマヨネーズづくりの現場を経験した後、工場の施設環境課で廃棄物管理を担当。その後、本社勤務となり、持続可能な社会の実現とキユーピーグループの持続的な成長の両立をめざす仕事に一貫して携わっている。

中河原工場 施設環境課

Yamanaka Daigo

中河原工場でドレッシングなどの生産管理をした後、現在所属する施設環境課に異動。工場内の設備管理や、廃棄物の管理・再資源化を担当している。

  • 配管洗浄で処分される
    マヨネーズも
    すべて活かしたい。

    松原:私は大好きなマヨネーズをつくる仕事がしたいと思い、キユーピーに入社しました。最初は工場でマヨネーズの生産管理に携わり、1年後に工場の施設環境を管理する部署に異動。「廃棄物とは?」を一から学び、廃棄物を減らし、資源として再利用するという課題に取り組みました。
    その中で「もったいない」と思いながらも、どうしても活かしきれずにいたのが、洗浄する際に処分されるマヨネーズでした。
    工場では様々なマヨネーズ類を製造しているため、作る商品を切り替えるたびに配管内をきれいに洗浄する必要があります。配管に残ったマヨネーズは毎回取り出され、衛生管理のために焼却処分※1せざるを得ません。1回の洗浄で出るロスはわずかですが、たくさんのマヨネーズを作っているからこそ、どんなに減らす努力をしても、積み重ねれば大きな量になります。工場のみんなが心を込めて作っていることを知っているだけに、これらのマヨネーズも全て無駄なく活かせるようにしたい。それが当時からずっと抱き続けてきた想いでした。

    • ※1 発生する熱エネルギーを回収して利用するサーマルリサイクル型の焼却を実施
  • 養豚農家の悩みが
    ヒントになって、
    「価値あるもの」へ。

    松原:その後、本社に異動となって社会や環境の課題に取り組む仕事を続ける中で、キユーピーグループの工場から出たジャガイモの皮などを家畜の飼料として活用することにも関わるようになりました。
    ある日、養豚農家さんがバイオガス発電※2に挑戦しているという話を聞きました。「ガス量アップのために適した油分が欲しい」と言います。油分?マヨネーズの主な原料の1つは植物油なので、「うちにはどうしても廃棄せざるを得ないマヨネーズがあるんです。その油分を活かしませんか?」と提案。自然と息が合って、どちらからともなく出た言葉は「一緒に取り組みましょう!」。マヨネーズをバイオガス発電に活かすチャレンジが始まりました。
    養豚農家さんのお困りごとと、私たちの困りごとを互いに助け合うことで、「価値あるもの」になるかも知れない。廃棄されていたマヨネーズを活かすチャンスにワクワクしました。

    • ※2 養豚農家で出る家畜の排泄物と野菜くずなどを混合してメタン発酵後、そこで生成されたバイオガスを利用して発電する仕組み
  • 「マヨネーズで発電」は、
    前例の無いこと。
    挑戦したいと思った。

    松原:バイオガスについて基礎から学び、養豚農家さんに何度も足を運んでは、油分を発電に使えるようにするテストを繰り返し、自分が納得できるところまでいくのに2年ほどかかりました。その段階になったところで中河原工場に相談に行きました。
    配管洗浄で処分されていたマヨネーズをバイオガス発電に活用するには、生産ラインの変更や作業の手間が生じるかも知れません。工場のみなさんに意義を理解していただく必要もあります。工場での調整が大変であることは間違いありません。その時、窓口として話を聞き、前向きに受け止めてくれたのが山中さんでした。

    山中:私は中河原工場の生産管理から施設環境課に異動となって以来、再資源化などに取り組んでいました。自分なりに課題も感じていて有効な処理法は無いかと模索していたので、むしろワクワクして提案を聞きました。
    松原さんは全社的に環境の課題に取り組んでいるので様々な知見があるし、外部の方とのネットワークも持っています。一緒に取り組めることは、工場にとってすごく良いと思いました。また、前例の無いことに挑戦するということが、自分の中では大きなモチベーションになりました。

  • 工場のみんなと
    想いを共有して、
    負担を抑えて実現。

    山中:私がまず進めたことは、工場のみんなにこの取り組みの「価値」を理解してもらうことでした。
    みんなが大切に作っているマヨネーズがごく一部とは言え、焼却されていることはあまり認識されていませんでした。配管を洗浄することで発生する廃棄分なのでやむを得ないのですが、工場全体で見るとそれなりの量になります。まず、こんなに処分されていることを理解してもらい、それが今後は「価値あるもの」に生まれ変わることを伝えることで、みんなが前向きに取り組んでもらえるように理解を図りました。
    もう1つ重視したのが、負荷のかからない作業性です。マヨネーズの搬出方法が変わらないように、委託したバイオガス原料の供給会社に相談して調整をしてきました。衛生面がしっかりした搬出方法が確立されていたので、それを活かしつつ、マヨネーズを搬出用の容器に移す際のフタの部分を特注品で製造。現場の人は今までと変わらずに作業できるようにすることで、スムーズな運用が可能になりました。

  • 「社長賞」を受賞。
    「創意工夫」の社風が
    支えとなって大きな成果に。

    松原:着想から約5年かけて、廃棄マヨネーズのバイオガス発電への活用は確立されました。現在では、さらに五霞工場、神戸工場など複数のグループ工場が参画するまでになっています。この取り組みで、年間約980トン※3のCO2削減(2022年・2015年度比)につながりました。
    これらの成果が評価され、2022年にはこの取り組みが「社長賞」を受賞することになりました。この賞は、山中さんをはじめ、関わってくれた全員への賞だと思っています。
    キユーピーの社訓に「創意工夫に努めること」というものがあります。この姿勢は、ものづくりに限りません。工夫する文化が社内に根付いているので、共感してもらえて「手伝います」「協力します」という方がたくさんいました。実現にこぎ着ける上で、私たちにとってすごく支えになりました。

    • ※3 「焼却処分量の減少による削減量」に、「キユーピーグループからの供出物を利用してバイオガス発電した場合と、同じ発電量を一般的な発電方法で得た場合を比較したとき低減されるCO2量」を加えた数字(いずれも推計)
  • マヨネーズ
    100周年に向けて、
    可能性は無限大。

    松原:この取り組みを知ったお客さまから、「このような環境活動を続けていってほしい」などの応援メッセージをたくさんいただきました。そのお声で、もっとやりたい!という気持ちがますます強くなりました。
    2025年には、キユーピー マヨネーズは発売100周年を迎えます。私たちはこれからもお客さまに愛していただける商品をお届けすると共に、環境負荷や食品ロスの課題にもチャレンジし続けていきたいと考えています。
    「ゴミ」というものは、そもそもないと思っています。今「ゴミ」として扱われているものも、そこで価値が終わるわけではありません。私は「宝」だと思っています。バイオマス発電も1つの解決策に過ぎません。だから、可能性は無限大。やれることは、まだまだあります。やり続けますし、一緒にやってくれる人も増やしていきたいと思います。

  • 松原由紀さんの
    オススメレシピ!

    おにぎらずです。私は各地の工場を回ることが多いので移動の時に手軽に食べられるように、よくカバンに入れています。レタスと豚肉の生姜焼きに、たっぷりのマヨネーズを重ねたりして。エネルギーにもなります。大好きなレシピです。

  • 山中大吾さんの
    オススメレシピ!

    マヨネーズとスイートチリソースをかけた唐揚げです。すごくおいしいです。そういう唐揚げを売っている店があって、高校の部活が終わった後によく食べていました。ぜひ試してみてください。